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2019.04.15

エネルギーと政治【社長BLOG】

東京に自然エネルギーの森をつくる・たまエンパワー代表の山川です。

今日は統一地方選の投票日ですね。

20代の頃は、ビジネスと政治は無関係で、自分とは縁のない世界と思っていました。今思えば、青かったなあと恥ずかしくなりますが、それなりに年を重ね、特にエネルギーの世界に入ってからは、政治の重要性を強く感じています。

エネルギーは国の根幹を成すものです。日本は戦前の水力・石炭が主力であったエネルギー源は、中東で油田が相次いで発見された1950年以降に石油が急激に増加、しかし、オイルショックを経て電源の多様化に舵を切り、天然ガスと原子力に力を入れるなど、歴史の中でエネルギー源は変遷してきました。
日本は化石燃料の埋蔵量という意味においては「資源小国」なので、原子力の平和利用の道が開けてからは、使用済み核燃料を再処理して再び使うことで、繰り返しエネルギーを取り出すことができる"夢のエネルギー"を「準国産エネルギー」と位置づけて技術開発を進め、原発を強烈に推進してきました。

このように、エネルギーの歴史は、つまり「発見」と「技術革新」の歴史と言えます。前述の原子力はその最たるものですし、シェールガスも昔からシェールサンドの存在自体は知られていましたが、採掘技術が発達することで採掘が可能になりました。

自然エネルギーも同様です。
太陽エネルギーや風力エネルギー、波力、潮力、地熱などは地球上にほぼ無限に存在しますが、分散して点在するこのエネルギー源を過去はうまく使いこなせていませんでした。
昨今は技術革新により、特に太陽光発電や風力発電の発電効率が上がり、世界的な普及によってコストは劇的に下がり続けているのはこのブログでもお話している通りです。
変動する出力の貯蔵技術、制御技術はまだまだ発展途上ですが、太陽エネルギーはほぼ無限に降り注ぐのに加え、日本列島の周りは海で洋上風力発電をはじめ、潮汐力や波力の可能性も大いにあります。また、プレートの境界に位置し、火山活動が活発であることは、地熱発電のポテンシャルが高いことの証左です。このように考えると、関連技術が成熟することで、日本は「資源大国」になる可能性は十分にあります。

そうした将来の産業へ重点的に予算配分し、各種の規制を緩和し、民間の投資を誘発し、国の産業として育てていく、その方針を決めるのが政治の役割です。政治家は世界の趨勢を読み、未来を見据えた意思決定が求められます。今世界は原発事故やパリ協定を経て急速に「脱炭素化」に向かって走り出し、自然エネルギーは脱炭素化の切り札として、世界のエネルギーのメインストリームになりつつあります。
しかし、様々な問題が山積の原子力に執着し、石炭火力を捨てきれず、再エネは中途半端です。エネルギーに関する政治的な意思決定があいまいなままきた結果、エネルギー関連産業は世界から一気に後退してしまった。残念ながらそれが今の日本の政治の現状です。

ただ、それでも地方にはまだ可能性があると言えます。イノベーションは現場で起きます。
政令指定都市、人口10万~50-60万人の市区町村は、その気になれば思い切った政策が可能です。事実、そうした思い切った政策を打ち出し、エネルギー自給率100%を超えた市区町村も100を超えました(永続地帯2018年度版)
無論、最終的に国政が変わらないと大きな変化は起きませんが、つまるところ小さな成功事例の積み重ねが政治を動かすものです。
良くも悪くもエネルギーは政治に依るところが大きいのです。
私たちが「地域主導」にこだわる理由はそこにあります。

今回の選挙は、候補者の哲学や、掲げている政策をしっかり見て、一票を投じたいものです。