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2022.02.19

地方自治体の脱炭素計画における公共施設への自家消費太陽光の導入の必要性について

一昨年、菅前首相が2050年カーボンニュートラルを宣言してから、地方自治体での脱炭素の取組が漸く加速してきました。
弊社でもいくつかの自治体の計画づくりのお手伝いをさせていただいていますが、足元ではなかなか進んでいかないなというのが実感です。
主な課題や、そこに対してどのように取り組むべきか、という点についてはまた別の回に譲るとして、地域で脱炭素を進める際に真っ先にやるべきは、まず自治体自らが率先して取り組む姿勢を見せることだと思います。

では、何から始めるべきでしょうか。
最も確実かつ効果的な方法は「公共施設の屋根に自家消費用の太陽光を載せる」ことです。
意外に思われるかもしれませんが、公共施設は、自治体の大きさによって数は異なるものの必ず存在し、かつ避難所等に指定されているところもあるため、屋根上太陽光は災害時のレジリエンス強化にもつながるいわば「鉄板」の施策です。
CO2削減にもつながり、民間投資の呼び水になります。
他の地域でも実績が既にあるため、行政が忌避しがちな「前例がない」から進まない、ということもありません。
環境省も再エネ最大限導入事業などのいくつかの支援メニュー(=補助金)設けており、そうした事業を活用して、公共施設の屋根上にどれだけ太陽光が載せられるかといった調査が行われています。

では、公共施設の屋根を航空写真から面積を測って積載可能容量を算出するのは正しいやり方でしょうか。結論から言えば、間違いではないですが現実とは離れており、残念ながら使えるデータであると言えません

それはなぜでしょうか?

まず、自家消費を前提とした太陽光発電は、FITの全量売電の太陽光発電と根本的に違うということを認識する必要があります。FIT全量売電はパワコンの容量50kWを境にで規制が異なるものの、例えば50kW載せてもそのまま系統に連系すれば発電した電気のそのまま全部を電力会社が買い取ってくれます。

しかし、自家消費は施設の電気設備に太陽光からのケーブルを引き込みます。太陽光パネルで発電した電気は、その瞬間施設で電気の消費があればそのまま使われます。すると、施設がいつどのくらい電気を使っているかが極めて重要になります。学校などでは、平日の日中は生徒たちがいるので電気を使いますが、夏休みは長期で人がいない、土日もいない、というように、季節毎、曜日毎に電気の消費(負荷パターンと言います)が著しく異なります。
つまり、50kW載せたとしても、電気が使い切れずに「余ってしまう」時間帯が多く発生します。余った電気は系統に流せる場合と流せない場合があります。施設のロケーションによっても異なります。ですから、自家消費の場合、発電した電気は「余さず使い切る」ことが基本になります。つまり、公共施設では、屋根上のスペースが豊富にあったとしても、そのスペース全部に太陽光パネルを載せるのが適切であるとは限らないのです。

こうした問題に対して、弊社では、1年365日の電力の30分値を元に独自のシミュレーションソフトを用いて余剰率を算出、そこから適正設置容量を算出しています。
これは再エネポテンシャル調査や、その後の公共施設の太陽光設置可能性調査、といった調査段階で必須のプロセスです。
また、昨今では太陽光を第三者が設置して屋根の下に電気の直接販売契約を結ぶPPA方式(この場合、オンサイトPPAと呼ばれる)での導入の検討も進んでいます。
その場合も、どのくらい屋根下で消費できるか、というのがPPA事業の事業性に直結しますので、これも必須のプロセスであると言えます。

このようなプロセスを経て、適正な容量を公共施設に載せられれば、それらは数十年に亘って地域の脱炭素や防災力の向上に貢献し続けます。
地方自治体も「何から取り組んでよいかわからない」というおっかなびっくり状態から一歩踏み出すことで自信につながり、次の施策が進めやすくなります。

繰り返しますが「公共施設の屋根への自家消費太陽光の導入」は地方自治体が脱炭素を進めるにあたって、真っ先に取り組むべきテーマです。

弊社には地方自治体やコンサルなどから上記の調査の依頼が寄せられています。

簡易的な屋根上太陽光の可能性調査から、具体的に設置する場合の適正容量の設計に至るまで様々ですが、予算や件数、調査目的などによって個別対応しております。
まずはご相談ください。

詳しくはこちら

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