Project / TEPの活動

<戻る
2015.09.03

お客様の声~株式会社グリーン・ワイズ 田丸社長インタビュー

-グリーン・ワイズさんの事業について教えてください。

 田丸:当社は明治38年に植木・温室植物栽培・賃貸造園業として創業し、現在は屋上緑化や商業施設のディスプレイ等、「緑化マネジメント」を中核事業としています。
 また、最近はヨガなどの健康増進や、医療機関と連携して自己治癒力を高めるようなプログラムの開発など、緑の効用をより広く捉えた生活提案にも積極的に取り組んでいます。


―田丸社長はバイオリージョンに基づいたまちづくり、エネルギーの100%自給、職住近接といった「環境緑化都市」のコンセプトを既に10年前から提唱してらっしゃいますね。地域に軸足を置きながら、グローバルな生態系・地球環境まで広い視野を持つようになったきっかけは?

 田丸:「仕事柄」でしょうか。当社の場合、ステークホルダーは人間だけでなく、地域環境や天候等も入ります。人間生活が自然界に影響を与えることもあります。そうした意味では私たちの暮らし方や働き方をいかに環境負荷の少ない方向に変えていくかが重要だと感じます。
 あと、大きなきっかけは、自分の子どもが生まれたことです。自分の命より大事なものが確実にある。その命が生きていける環境を作る責任が私たち大人にはあります。


―子どもができると未来に対するリアリティが湧きますね。私も小学生の子どもが2人いるのでよくわかります。

 田丸:当社は「環境共生」という理念を掲げています。そのために、個人の暮らしからまちづくり・地域というスケールに事業領域を広げ、水や食料やエネルギーが地域で循環すること、自然にできるだけ負荷をかけない持続可能な社会を「緑」の切り口から実現していきたいと思っています。
 21世紀は世界の大半の人口は都市に住むと言われていますが、都市の持続性を高める取り組みをしたい。都心でも田舎でもない、都市郊外型の多摩の取り組みは汎用性を持つはずです。そのためにはまず自分たちから小さく始め、徐々に事業者や行政など地域のほかの主体と連携して取り組みを進められればと思っています。


―弊社(※たまエンパワー)はエネルギー分野で御社とパートナーシップを組ませていただいていますが、田丸社長の考えにとても共感しています。エネルギー分野ではどんな取り組みをされている、あるいはされようとしていますか。

 田丸:屋根上の太陽光パネルはもちろんのこと、PPS(新電力)への切り替え、EV(電気自動車)やEV充電器の設置、蓄電池の設置等を予定しています。将来的にはそれが地域の電力融通(マイクログリッド)などにつながると良いと思っています。また今後はバイオエネルギーも検討してみたいです。


―自然エネルギーの世界では小規模・分散がキーワードです。そのほうが効率的で、外部環境の変化に強く、結果的にコストも安い。

 田丸:植物管理の観点だと、大きな力でねじ伏せるより、小さい力で無理のない形で管理していくほうが持続性があります。
 植物の世界で「デッドセンター」と呼ばれる現象があります。これは、ある特定の植物群落が大繁茂して過密状態になると、その中心部から死滅して周辺部だけが生き残る現象を指します。自然界では、その地域に生息する生き物が多種多様であればあるほど、互いに補い助け合って病害虫の発生を食い止める力などがあり、自律循環型の生態系が育まれます。
 ビジネスやエネルギーでも同じようなことが言えるのではないでしょうか。単一の大きなシステムはそれが壊れたらおしまいです。むしろ単位は小さいほうが良く、時間はかかるかもしれないけれど、そのほうが結果的に長続きします。人間も自然の一部ですから。


(聞き手:山川勇一郎  写真:菅原竜介 greenwise本社にて)